(講演レポート)「ストレスと精神生物学 −新しい診断法を目指して−」
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(講演レポート)平成18年度 第35回精神研シンポジウム「ストレスと精神生物学 −新しい診断法を目指して−」
2006年12月13日 渋谷区津田ホールにて、研究者向けシンポジウム「ストレスと精神生物学 −新しい診断法を目指して−」が開催されました。<開催要項>
テーマは「ストレスが身体に与える影響を測る」。ストレスが身体、特に脳に与える影響をどう測るか、ストレスと病気の関係とはどういうものか、分野の最先端で活躍する5人の研究者が多彩な講演を行いました。
さすがに専門家向けだけあって非常に難しい内容ばかりでしたが、うち2講演についてかいつまんでお伝えします。
講演2
ストレスと脳(ストレスで脳や心が病む時)
講師:東京大学精神神経科特任講師 松尾 幸治氏
うつ病やPTSDなどのストレス病は、脳の画像で診断できるのでしょうか。未だに結論は出ていませんが、脳画像と患者の様子を比較した様々な研究から、少しずつ実態が見えてきつつあります。
PTSDとは、事故や自然災害などで強烈なストレスを受けると発症する病気です。我々の研究グループは地下鉄サリン事件被害者のご協力を得て、同じ体験をしてPTSDになった人とならなかった人の脳画像を比較してみました。すると、情動のコントロールに重要な前部帯状回の灰白質という部分の大きさが、PTSDになった人の方が小さいことが分かりました。
他のグループによる研究では、記憶をつかさどる海馬や、情動に重要な内側前頭皮質、扁桃体という部分の機能不全が指摘されています。これらの結果から、PTSDの正体は感情の制御と認知機能を司る前頭皮質・帯状・海馬・扁桃体ネットワーク全体の異常と考えられます。
一方、うつ病の脳画像研究はまだあまり進んでおらず、うつ病患者の脳内で何が起きているのかはよく分かっていません。様々な研究結果を総合すると、うつ病患者の脳内では前頭葉や前部帯状回の活動性が下がっているのは確かなようです。
また高齢うつ病患者の脳を調べてみたところ、前頭部の活動が小さく、脳血管が収縮しにくいことが分かりました。もしかしたら高齢うつ病患者の脳内では動脈硬化が起きており、それが前頭葉の機能低下につながっているのかもしれません。
うつ病とPTSD、これら2つの研究アプローチから、ストレスで精神疾患になった患者の脳内では、前頭前野・前部帯状回・海馬・扁桃体の機能−形態異常が引きおこされていると考えられています。しかし、病気になったから機能不全になったのか、もともと機能不全だったから病気になったのかについては様々な解釈があり、まだ結論が出ていません。新たな治療法を見いだすためにも、脳画像研究のさらなる発展が期待されます。
講演4
ストレスと免疫システム(心身相関の謎を探る)
講師:九州大学精神神経科教授 神庭 重信氏
ストレスを受けると、風邪を引きやすくなるのはなぜでしょうか。誰でも経験的に知っている「ストレスが免疫力を低下させる」現象は、20世紀初頭から研究者の間でもたびたび指摘されてきました。しかし、「免疫システムは脳の働きに一切関与していない」という説が医学界の常識であったため、脳の働きと免疫の関係はこれまであまり重要視されていませんでした。
脳がストレスを感じたとき免疫にどう影響するのか、その具体的なメカニズムに目が向けられるようになったのは比較的最近のことです。例えば、辛い体験をしている人ほど風邪を引きやすいことを風邪ウイルス投与実験で直接示したSheldonらの研究(1991)や、試験中の学生の免疫細胞数が通常時より少なくなることを明らかにしたGlaserらの研究(1985)などにより、これまで全く無関係と考えられていた脳と免疫が、実はとても密接に関連していることが分かってきたのです。
研究が進んできた現在では、ストレスが免疫反応に与える影響の大きさは、個人の性格傾向やストレス耐性に左右されるのではないかと予測されています。例えばガン患者は不快な感情をためこみやすく、受動的な性格であることが多いと知られています。免疫機能が衰えるとガンになりやすいと考えられていますが、不快な感情を表に出さない行動特性が免疫力の低下を招き、ガンを生みだしているのかもしれません。
悲しみやうつ状態もまた、免疫機能を下げると考えられています。妻を乳ガンで亡くした夫は、妻が亡くなる前よりも免疫細胞の働きがはるかに衰えており(Schleiferら、1983)、より抑うつ的な性格の持ち主ほど自己免疫疾患、結核、慢性関節リウマチなどの病気にかかりやすいのです。
様々な病気がなぜ発症するのか、またどのような経過をたどるのかを知るには、脳と免疫の関係が一つのキーワードになりそうです。病気は、ストレスを初めとするさまざまな生物学的・心理的・社会的因子が互いにからみあった結果なのかもしれません。
ライターより:
5−10年後の治療を先取りした、最先端の研究の雰囲気はいかがでしたか? 今回のシンポジウムは専門家向けだったため、基礎研究段階での報告が多く、今すぐ治療に役立つようなトピックスの発表はほとんどありませんでした。やたら「○○かもしれません」と歯切れが悪いのは、今はまだ「○○です」と断言できるような定説を探っているところだからです。
ストレスがうつ病などの精神疾患を引きおこすメカニズムがさらに研究され、詳しく解明されていけば、きっと今後のよりよい治療に結びついていくことでしょう。
(佐藤未果)
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■臨床心理学 学会・研修・講演情報 東京都第35回精神研シンポジウム
■ビーケーワン:脳画像でみる「うつ」と「不安」の仕組み
■ドクター・コウノの認知症ブログ: 3 うつ病と認知症
■脳科学体験日記 Doctors Blog 医師が発信するブログサイト
■Yahoo!ブログ - ヘルパーさんが行く!!
■ドクター・コウノの認知症ブログ: 10 時計の数字の異常
■夕刊フジBLOG|5月病ならぬ「慢性疲労症候群」にご注意!
■うつとアトピー性皮膚炎、アレルギーとの関係〜UTU-NETより life is coming back/ウェブリブログ
■シゴタノ! - ストレスと記憶力の関係
■健康常識を自分で判断: 免疫力アップで風邪対策(あるある大辞典)
■うつ病になるとなりやすい病気 【うつ病を克服し、ストレスフリーな生活を手に入れる方法】:うつ病を克服しストレスフリーな生活を手に入れる方法 (うつ病 症状の改善のために)
■健康連載 - nikkansports.com:【第21回】ストレスから悪玉ホルモン増
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( → この記事を引用・転載するには?)
■寝てるだけじゃダメ!
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| | 2007年01月15日 20:21 | | トラックバック歓迎 (0) |
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